チェロの名曲は、オーケストラとの共演によるドヴォルザークの協奏曲を
はじめ多くの協奏曲がありますが、室内楽曲であるチェロとピアノのいわゆる
チェロ・ソナタでもいくつか名曲があります。
つきましては今回は、そんなチェロ・ソナタのおすすめの名曲を3曲紹介したいと
思いますので、ご参考にしていただけますと幸いです。
尚、あくまでも個人の好みになりますので、ご承知いただきますようお願いいたします。
1.ショパン チェロ・ソナタ ト短調 作品65
この作品は、1846年に完成し、友人のチェリストであるオーギュスト・フランコムへの
友情の証として作曲され彼に献呈されました。
また、この作品はショパンが生前出版した最後の曲とも言われており、
ピアノとチェロいずれも高難易度であるために演奏機会はとても少なく一般には
あまり知られていないため隠れた名曲とも言われています。
私としては、ショパンの晩年の音楽である自然、安定感、円熟などの特徴が感じられる
素晴らしい作品だと思います。
第1楽章
ソナタ形式でチェロの力強い第1主題と美しく雄大な第2主題との対比が
素晴らしい楽章です。
また、冒頭のピアノの華やかなカデンツァも素晴らしく、全体的には
ショパンらしい美しいメロディで仕上げられています。
第2楽章
全体を通して細かい転調があり、荒々しい男性的な第1主題と美しい叙情的な
第2主題が見事に調和しています。
第3楽章
うっとりと美しい旋律で華麗なピアノとチェロの歌謡的な箇所が印象的です。
第4楽章
第1楽章同様にショパン独特のソナタ形式で力強いピアノの主題、彼の故郷である
ポーランド民謡の香りがする第2主題で表現されており、激しい部分もありますが、
最後は歓喜のうちに華やかに幕を閉じます。
私の愛聴盤
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チェロとピアノのコンビネーションが素晴らしい演奏です。
2.ブラームス チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 作品38番
ブラームスは2曲のチェロ・ソナタを作曲しており、1番は短調、2番は長調で書かれ、
この第1番ホ短調は、1862年から1865年の4年の歳月をかけて作曲されており、
ブラームスの壮年時代の作品です。(29歳から32歳)
第一楽章の冒頭の悲しげで愛くるしい旋律は、これこそブラームス音楽で、
聴けば聴くほど味わい深い作品だと思います。
第1楽章
冒頭のチェロの哀愁を帯びた悲しげな旋律、それに追従するピアノとの協調は
素晴らしいです。
第2楽章
哀愁が漂うメロディで、チェロの重々しさをピアノが引き立てています。
第3楽章
第1楽章と第2楽章での鬱積した気持ちがこの3楽章で解き放たれ、激しい感情が現れ
その後は少し明るくゆったりとした気分になり、最後は華やかな感情で終演します。
私の愛聴盤
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ジャクリーヌ・デュ・プレの演奏は素晴らしいです。
3.ベートーヴェン チェロ・ソナタ第2番 ト短調 作品5-2
ベートーヴェンは5曲のチェロ・ソナタを作曲しましたが、唯一この2番のみ短調で
書かれています。
演奏会などで演奏される機会が多いのは第3番イ長調ですが、私はこの2番の第一楽章の
冒頭部分がベートーヴェンらしく、何かの陰影を表しており、悲しげな旋律が好きです。
この曲は、プロシア王に献呈された曲で、1796年(26歳)に作曲され、
翌1797年に出版されています。
第1楽章
冒頭の悲しげな旋律が聴く者を魅了し、途中は26歳のベートーヴェンの若々しい情熱で、
とても幸福感が溢れる旋律が心地よいです。
第2楽章
ピアノがリズミカルで愛らしく、これをチェロが受け、その後少し暗い旋律も現れ、
哀愁が漂います。
第3楽章
長調で書かれており、跳ねたり、踊ったりする軽快な旋律がとても楽しく、明るく、
思わずこちらもうきうきしてしまいそうですが、時々感傷的な暗い感じの旋律も姿を
見せます。
私の愛聴盤
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ジャクリーヌ・デュ・プレの演奏は素晴らしいです。
まとめ
チェロ・ソナタはチェロ協奏曲より、数多くはありませんが、チェロの魅力をじっくり
鑑賞できる室内音楽としては、最高の贅沢ではないでしょうか?
今回は私の好きな3曲をご紹介させていただきましたが、まだ多くの名曲がありますが、
まずは、この3曲からお聴きになってはいかがでしょうか?
尚、感想はあくまでも個人的な感想となりますので、ご了承いただければ幸いです。
一人でもチェロの魅力に気付いていただければとても嬉しいです。
参考文献:吉田秀和氏 ブラームス 河出文庫 2019年
文藝別冊 ショパンーパリの異邦人 株式会社河出書房新社 2014年
三枝成彰氏 大作曲家の履歴書(上) 中央文庫 2012年
三枝成彰氏 大作曲家の履歴書(下) 中央文庫 2012年
伊熊よし子氏 図説 ショパン ふくろうの本 2010年
中野 雄氏ほか クラシック名盤この1枚 知恵の森文庫 2003年
堀内みさ氏 堀内昭彦氏 ショパン紀行 東京書籍 2005年
神保璟一郎氏 クラシック音楽鑑賞辞典 講談社学術文庫 1994年