ブラームスは3つのヴァイオリン・ソナタを作曲しました。
1番と2番は長調で書かれ、3番は短調で書かれました。
3曲のうち、1番が有名で一般には「雨の歌」として知られており、2番、3番と
比べますと演奏会で取り上げられる回数が比較的多いです。
今回は、1番はもちろん、2番、3番も紹介をしていきたいと思います。
私はこの曲が好きで、通勤時愛聴しており、至福の時間を過ごしました。
作曲家ブラームスとは
ヨハネス・ブラームス(1833ー1897) 享年63歳
1833年にドイツ・ハンブルグに生まれ、バッハ、ベートーヴェンとともに
ドイツの「3大B」と呼ばれていいます。
父親は音楽家でありましたが家庭は非常に貧しく、ブラームスは家計を助けようと
ダンスホールにてピアニストとして生計をたてていたそうです。
性格は「人嫌い」、「偏屈」など孤独であったようです。
そのようなとき転機があったのは20歳の時に「シューマン」との出会いであり、
そのときのシューマンはブラームスのことを「この若者には何も足すべきところも、
何も引くべきところもない」と才能を絶賛したのでした。
ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト長調 作品78
円熟期の1879年(46歳)の夏に書かれ、「雨の歌」としても多く知られています。
第3楽章の冒頭の主題がブラームス自身による歌曲「雨の歌」を主題としているため、
この題名がつけられましたが、ブラームス自身が名付けたのではないそうです。
後にシューマンの妻であるクララはこのソナタについて「あの世に持っていきたい曲」と
述べるほど愛着を見せたと言われています。
最初はヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリン、ブラームス自身のピアノによって非公開で
演奏をされたそうです。
<第一楽章> ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ
軽やかで抒情的な主題とより活気的な主題の2つで展開されます。
私には、ピアノの伴奏が雨の滴を連想させるような感覚になります。
<第二楽章> アダージョ
とても哀愁に満ちた楽章で民謡風の旋律がピアノ奏でられ、ヴァイオリンが加わり
さらに哀愁が高まり、何とも切なくなります。
途中、葬送行進曲風となり再び哀愁の旋律に戻り終演します。
<第三楽章> アレグロ・モルト・モデラート
副題である「雨の歌」に基づく旋律を主題としていて、最後までヴァイオリンの
音色がとても美しいです。
ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 作品100
1886年の夏に完成しました。
第一楽章の最初に出てくる主題がワーグナーの名歌手(マイスターシンガー)の中の
懸賞の歌に似ていることから一般に「懸賞歌(プライズソング)のソナタ」と
呼ばれています。
<第一楽章> アレグロ・アマービレ
ワーグナーの「名歌手(マイスターシンガー)」の中の「懸賞歌(プライズソング)」に
似た主題で構成されています。
<第二楽章> アンダンテ・トランクィロ・ヴィヴァーチェ
春風に誘われた美しい抒情的な楽章で、ゆったりとした曲調で非常に心地よいです。
<第三楽章> アレグレット・グラチオーソ
のびのびとした旋律で、ピアノとヴァイオリンとの協調・調和が素晴らしいです。
ヴァイオリン・ソナタ第3番 二短調 作品108
3つのヴァイオリン・ソナタの最後にあたるこの曲は、1888年の夏に作曲され、
有名な指揮者でピアニストでもあるハンス・フォン・ビューロー氏に献呈されたそうです。
初演は1889年2月13日(ウィーン)
ヴァイオリン・ソナタでは珍しい4楽章で構成されています。
3曲中私が最も好きなソナタです。
<第一楽章> アレグロ
私としては、全曲のうち最も美しく哀愁のある楽章であると感じます。
ヴァイオリンが複雑な主題を見事に奏出しています。
<第二楽章> アダージョ
一楽章とは異なり、非常にゆったりとした曲調で、うっとりさせられます。
<第三楽章> ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント
嬰ヘ短調で書かれ、ブラームスらしく不安な感じが全曲に漂っています。
<第四楽章> プレストアジタート
溢れるような感覚と燃え上がる情熱が曲全体を包み込みます。
ヴァイオリンの音色が引き立てられます。
まとめ
ブラームスのヴァイオリン・ソナタは3曲ありますが、それぞれ特徴があり、
いずれも素晴らしいです。
また、演奏家は多くいらっしゃいますが、現在の私の愛聴盤は「千住真理子氏」です。
はやり、かの有名なストラディヴァリウス(ディユランティ)のヴァイオリンは最高の音色です。
私は3番が一番好きですが、皆様はどうでしょうか?
尚、私は専門家ではありませんので、あくまでも個人の意見として紹介をさせて
いただきました。
ご興味のある方は、一度お聴きいただき、一人でもブラームスの愛聴者が増えれば
嬉しいです。
参考文献 吉田秀和氏 ブラームス 河出文庫 2019年
三枝成彰氏 大作曲家の履歴書(下) 中央文庫 2012年
神保璟一郎氏 クラシック音楽鑑賞辞典 講談社学術文庫 1994年